同窓会会長あいさつ

柳 和久 (昭和44年卒)

柳 和久

 平成22年に発刊された創立140周年記念同窓会員名簿の6ページに同窓会の歴史が掲げてあります。母校同窓会の最古の記録であろう明治14年4月に27名が集まって撮った写真(付図1)のなかに「長岡学校同窓会」があることから、その創設はおそらく135年以上も前のことと推測されます。その後、幾多の変遷を経て、昭和35年(1960年)の12月に戦後初代の同窓会長が選出され、「長岡高等学校同窓会」と命名されました。私は昨年(2017年)の5月、突如10代目の同窓会長を拝命することとなった若輩者であります。そこで、歴代の同窓会長に敬意を表し、付図2に系譜を掲示した次第です。
 また、現在までに約37,000名の卒業生がおり、名簿の有効会員数は約29,000名です。

【図1】
明治14年4月の写真


 現時点の同窓会組織は付図3に示すように、長岡市を母体とした本部(和同会館内に事務局を設置)ならびに全国各地に発足した11の支部とから成り立っています。毎年、本部での総会を中心に、各支部で支部総会が開催されており、本部・支部の人的交流が続けられています。年2回発行されている同窓会報にその一部始終が報じられていますのでご参照ください。なお、ご覧のホームページを含めた会報編集担当者の労苦をねぎらっていただけると幸いです。

【図2】
歴代の同窓会長

【図3】
同窓会組織


 この1年間、同窓会活動の全容把握や規則に則った任務を遂行してはきましたが、「代表者のあるべき姿」が腑に落ちず、心細い日々を送ってまいりました。最近になって、某新聞の書評欄にハンナ・ピトキン著「代表の概念」を見つけ、しばらく考え込みました。政治学が対象(有権者と代表者との関係)の書籍なのですが、私は「任意団体における会員と代表者との関係」と拡大解釈してみたくなりました。その関係が数種類に類型化されていましたので以下に転載します。

①代表者に一定期間任意に行動する権限を与える「権威付与」型
②代表者にその行動を説明する責務を負わせる「説明責任」型
③代表者が団体の利益を忠実に写し出す「描写」型
④代表者が団体を惹きつけて、行動への支持を確保する「象徴」型
⑤団体に代わって代表者がその利益に適うよう実際に行動する「活動」型



 半世紀前に書かれた書籍にもかかわらず、代表者を受け入れる理由や代表者を支持する理由までをも深く問い質しているのでした。ひるがえって、我が同窓会の場合はとなりますと、全く一筋縄では行かないはずです。個人的に目が止まったのは象徴的な代表のあり方であり、読後に得た確信は、団体の「心に働きかけ」、感情的な同一化を引き出すような象徴を創出することを通じて代表関係が構築、維持される、でした。在校時の読書感想文ならさぞや立派な論述となったのでしょうが、古希が迫っている身としては後ろめたさだけが残ります。


 今年(2018年)の総会時に挨拶の機会を得た折、その最後に申し述べたことを以下に再掲します。
 「厄年」を迎える卒業年同期が総会運営を担当するという制度が発足し、今日まで受け継がれていることは実に偉大なことと思います。先輩諸氏が私たちに授けてくださったレガシーそのものであります。同窓会の縦糸が先輩・後輩を繋ぐ愛情であること、また同窓会の横糸が同期の末永い絆であり続けることを祈念し、挨拶の締めくくりと致します。

2018年7月1日